くらす

本屋を訪ねて~丸子町 まるさんかくしかく堂~

Written by takehana

○はコーヒー、△は雑貨、□は本。そのどれもが楽しめる本屋さん。それが上田市上丸子にある「まるさんかくしかく堂」。
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その名の通り、店内に入ると目に入るのは、三角の本棚。窓際の家具も、まる、さんかく、しかく。
SONY DSC このお店の店長は、中村信之さん。
親友の誘いで店長になったという中村さんは、ここで働く前は、お金を貯めては海外へ旅に出かけるという生活をしていました。旅に出るきっかけになったのは、ある一冊の本との出合いでした。

中でも中村さんにとって特別な場所だというアラスカでは、エスキモーの家に泊まったという経験もあるのだそう。そこには、中村さんがアラスカのお母さんと呼ぶ、ある日本人女性との出会いがありました。

自分らしく生きている中村さんの、今に至るまでいきさつと、これからのことを聞いてきました。

海外へのあこがれ

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SONY DSC子どものころは、本は読んでなかったかな。
高校を卒業して専門学校に行き始めたころからですかね。

埼玉の自動車整備の専門学校へ行っていました。まったく今の仕事に関係ないですけどね。

学校を卒業してから普通に就職して働いていたんですけど、高校生くらいから海外に対するあこがれが漠然とあって、社会人になると学生のころとは比べ物にならないお金が入ってくるじゃないですか。

そうするとみんないい車とか買うんですけど、僕はあんまり車に興味がなくて。
これ、もしかして海外行けんじゃねえかな?と思って、仕事を辞めて行くことを決めました。

人生を変えた本との出合い

SONY DSC沢木 耕太郎の「深夜特急」っていう、アジアからヨーロッパまで乗り合いのバスで移動しながら旅をする本があって、それにすごい影響されて。

読んでるとワクワクワクワク、頭の中で旅をしていて。それで旅に行きたいと思うようになって。あと星野道夫さんていう写真家の方がいて、その人に憧れてアラスカへ行きたいなと思ったのが始まりです。

旅の娯楽は「本」 本と共に旅をする

SONY DSC旅をしてて面白いのが、旅をしている人同士、本を交換すること。あんまり売ってないんですよ、日本の小説とかって。売ってたとしてもすごい高い値段で売ってたりとか。

みんな移動するから、娯楽っていうと本しかなくて、旅してる人は小説読んでる人が結構いるんですよね。

だから同じように旅をしている日本人に会うと、小説を交換するんですよ。「本持ってる?」「持ってるよ。読み終わったやつ交換しない?」なんて。そして、また違うところへ行って違う人と交換して。

あと、ゲストハウスに本が並んでたりするんだけど、そこに日本語の本があると、それを自分のと交換したりとか。

そうやって本も一緒に旅をしている感じで、そう思うと面白いなと思う。この本ってどこからきたのかな?とか想像するだけでもわくわくするし。

古本て、面白いですよね。

アラスカで出会った日本人女性 アラスカのお母さん

SONY DSC初めてアラスカへ行ったとき、行き方を聞きに日本人向けのお店に行ったんですよ。
そしたらそこのおばちゃんが、「ああ、アラスカで星野道夫さんとかもお世話していたおばちゃんがいるから、連絡してみたら?話しできるかもよ。」って、現地に住んでいる、ある日本人女性を紹介してくれたんです。

そこで僕は紹介された、その日本人女性に連絡しました。最初は僕のことを、お店にいたおばちゃんの知り合いだと思ったらしくて、「泊まりにきなさい」と言ってくれました。でも実際に話したら他人じゃないか!ってなったんだけど、せっかくだからいいよ!ということで泊まらせてもらいました。

それからは、エスキモーの村の現地情報とか教えてもらったり、彼女を通して、アラスカに住んでる日本人と仲良くなって遊んだり、星野道夫さんのファミリーとも仲良くなったり。そのおかげでエスキモーの人と繋がることもできて、その人の家に泊まらせてもらったり、一緒にハンティングに行ったりすることもできました。

その後もアラスカへ行くときは、そのアラスカのお母さんに連絡して行くという感じでした。彼女がいなかったら、エスキモーの人と生活してみたいという想いは叶わなかったかもしれないし、こんなに多くの人と出会うことはなかったと思います。特別な場所になったのも、貴重な体験ができたことも、彼女がいたからこそできたことです。

いつも行くと荷物を準備してくれて、部屋も僕のために空けておいてくれる。
彼女はアラスカのお母さんみたいな存在です。
SONY DSCエスキモーの村で拾った角

しかし、そんなアラスカのお母さん、5年前に亡くなってしまったんです。
連絡が来てから急いで行って、2週間くらいアラスカで旅をしたり、看病したりという感じで過ごしました。それから1か月しない内に亡くなってしまって。でも本当に行っておいて良かった。顔見てありがとうって言えただけで、違いますよね。

友人の誘いで店長に

SONY DSC 社長である友人に誘われました。
すごい仲の良い友人です。彼はブッククラウドという古本の買取をしている会社を経営しています。彼が実店舗を出したいといった時に、僕がすごい本好きで、テレビも見ずに読んでるくらいだったから、店をやらない?と声を掛けられて。面白そうだなと思って引き受けました。

現在、店舗は僕とスタッフの西沢亮さん、二人でやっています。彼はレイアウトや絵が得意なので、そういう所はお任せしています。
SONY DSC店のカウンター上のメニューは、西沢亮さんが書いたもの。
SONY DSCこちらも西沢さん作。
事務所もこの建物の隣にあって、同級生3人と最近入ったパートさんが働いています。

SONY DSC本のジャンルは、カウンターカルチャー系が多いですね。ネイチャーや哲学系もあって、他にも絵本、雑誌、漫画もあって幅広いですよ。

SONY DSC2階にある本は、店員さんの私物のおすすめ本。貸し出しもしています。

自分が楽しんでいると、人が集まってくる

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SONY DSC理想は、もっと近所のおじちゃんとかが畑仕事の帰りによってくれるようなお店にしたいんだよね。ようやくちょっとずつ、徐々に徐々にお客さんが増えてきたけど。

SONY DSC まるさんかくしかくのクッキー
SONY DSCお店のいたるところに隠れている、○、△、□。これを見つけるのも楽しみのひとつ。

店をやってて、全部楽しい。いろんな人と話ができたり、人の価値観に触れたり、いろんな人と会うことが楽しいです。お店やってなかったら、こんなに色々な人と会うことはないと思うし。こういうお店だと価値観の似てる人が来てくれて、そういう人と話すと楽しいし、勉強になる。
SONY DSCお客さんが来て、また違うお客さんがきて、お客さん同士がこの場所で仲良くなって会話が弾んでいるところとか見ると、すごい嬉しい。いいなって。コミュニティースペースというと大げさだけど、もうちょっとそういう場所になったらいいなと思う。

誰でもこのお店に来てくれたら嬉しいから、お客さんには心ある仕事ができたらなと思っています。もっとイベントとか、ここでやっていきたいなと思っていて、そういうのも考えていきたいですね。

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プロフィール
中村信之さん
1982年、丸子町出身。
23歳より海外への旅をし始める。
アラスカ、ネパールなど行った国の数は30か国ほど。
2015年5月のオープン時より、まるさんかくしかく堂の店長を務める。
もう5年旅に出ていないので、行きたい想いがウズウズしてます。

店舗情報
営業時間:10:00~19:00
定休日:月・火曜[祝日の月曜日は営業]     (今後、変える予定あり。詳しくはFacebookにて)
住所:上田市上丸子280
電話:0268-71-5457
URL:https://www.facebook.com/marusannkakusikakudou/

「常にわくわくしていたい。5年後の自分が想像できない方が面白い。」という中村さん。
話している姿がとても楽しそうで、お店も、私生活も自分らしく生きて、楽しんでいる様子が伝わってきました。

私はそれを見て、とてもうらやましく感じました。
自分の人生を変えてしまうかもしれない本を、探しに行ってみてはいかがでしょうか。

まるさんかくしかく堂  上田市上丸子280

文:takehana 写真:なみへい

About the author

takehana

長野県飯山市出身。1児の母。
おしゃれが好きで、最近はリンクコーデを満喫中!
でもお家にいることが好きなので、ハンドメイドや本を読むこと、かわいいインテリア集めなど、インドアで出来ることを楽しんでいます。